~強制決済されないためのリスク管理~
FXにおいてロスカットルールという事柄は最重要なカテゴリです。これまでの記事でもよく出てきたワードであると思います。まずはロスカットに関して簡単に解説します。
ロスカットとは?
約定レートから大幅に相場が下落 (ロングポジションの場合) または上昇 (ショートポジションの場合) した場合に規定の証拠金維持率を下回った時点で追加保証金が発生、その金額を期間内に入金できなければポジションが強制決済され担保金も失うことです。
ロスカットルールを把握する際にまず覚えておきたい用語があります。主に “必要証拠金” ” 有効証拠金” “証拠金維持率” です。
必要証拠金とは?
通貨購入の際の最低必要担保(金額)またはポジション維持額です。ここでいう最低必要証拠金額が証拠金維持率100%に等しいです。
計算式は、
対象為替レート × Lot (通貨数) ÷レバレッジ = 最低必要証拠金です。
ドル/円ペアを1ドル=100円の時に10Lotエントリーした場合の最低必要証拠金は、
100円 ×100,000÷25 (個人口座の場合) = 400,000円となります。
レートが上下することによって金額が変動します。大抵のFX業者のロスカット基準率が100%以下となった時点としているため、レートが少しでも下がった場合は最低必要証拠金額のみの預け入れですと即ロスカットとなってしまいます。(泣)
そのためこの必要証拠金 400,000円に+した、ある程度の余裕資金を入れなければいけません。
有効証拠金とは?
口座に預けている資金 (必要証拠金+余裕資金)から保有しているポジションの評価損益を算入した金額です。まず上記の例を参考に当てはめてみましょう。
エントリーレート: 1ドル=100円
保有: 10 Lot (100,000通貨)
必要証拠金: 400,000円
ロスカットを考慮し、余裕資金で + 600,000円預入の場合
純資産: 1,000,000円 (必要証拠金+余裕資金)
仮にレートが101円となった場合は為替評価益の100,000円が算入され、純資産が1,100,000円となります。しかし、99円になった場合は為替評価損が算入され900,000円と表示されます。
証拠金維持率とは?
ロスカット基準額に対する口座純資産の割合と言えます。
計算方法は 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 = 証拠金維持率となります。
これまでの例を当てはめますと、1ドル=100円でのエントリー時では、
1,000,000 ÷ 400,000 × 100 =250 %が証拠金維持率となります。
レートが上下することにより維持率は変動します。
1ドル=101円に上昇した場合は、
1,100,000 ÷ 400,000 ×100 = 275%
1ドル=99円に下落した場合は、
900,000 ÷ 400,000 × 100 = 225%
この維持率が100%となってしまうとロスカットです。この場合ですとドル/円レートが94円時点で-600 Pips (60万円の評価損)が反映され、ロスカットとなってしまいます。
レバレッジも参考に
一度エントリーした際、必ず口座情報を確認すると基本的にはレバレッジが表示されます。上記の場合ですとエントリー時は レバレッジは10倍です。理由としては余裕資金で600,000円預入している状態となりその分本来の25倍よりも下がっています。
ここで重要となってくるのが運用方法です。
短期トレード (Day~Weekの間でのクローズ狙い)であればドル/円を例にしますと値幅が エントリーレートに対して +−1~2円と予測がつきやすいためリスクは少ないです。
中期・長期トレード (数ヶ月~年でのクローズ狙い) ではどうでしょう。ドル/ 円であっても5~10円の値幅があります。そのため上記の例でのレバレッジではあまりにもリスクがあると判断できます。仮にロングで1ドル=100円エントリーで-500Pips以上の評価損が出た場合は限りなくロスカットに近づいてしまいます。
私の場合は、ドル/円を10ポジションほどロングでレバレッジ5で運用していましたが、チャイナショックで損切りを余儀なくされました。反省点としてはポジションを一つの口座で保有しすぎたことと長期トレードに絞っていたことであると思います。この点から中期~長期トレードではレバレッジ3程度にして各通貨ペアの性質やFX業者の利点に合わせ、なるべく口座を使い分けて取引されることをおすすめします。 *おすすめFX口座参照
この記事内の例ですと口座資金400万円ほどでドル/ 円ペアを10Lotエントリーした場合、証拠金維持率が1000%でレバレッジが3~3.5ほどに抑えられるかと思います。
これらのリスク管理は前回記載したトルコリラ/円のスワップ運用に関しても同じことが言えます。幸いトルコリラは主要通貨に比べレートが低く、スワップポイントの高さに魅力があります。さらにある程度の通貨購入数に対して圧倒的に必要証拠金が少なく得です。しかし、だからと言って例えば100,000トルコリラ/円エントリーで口座預金額が 100万円以下ですと-1000Pips評価損がついた場合ロスカットとなってしまいます。そのため、長期チャートを分析し底値レートを判断したところでエントリーすることがなるべく長くポジションを保有しロスカットリスクを抑えるために重要です。仮に1年保有し続けることができればその分スワップポイント付与により口座資金が増え続け、レバレッジが軽減されます。
以上のことから 特に証拠金維持率やレバレッジに注視することがトレードの際のリスク管理に必要です。FX業者の中にはこれらを計算するツールを提供しているところもあります。ロスカットシュミレーターは特に参考になるので運用前に利用していただければと思います。