仕組みとリスクについて
FX投資をする中でスワップポイントは短期トレード派にはあまり気にならない分野ですが、長期トレード派には重要な事柄です。
スワップポイントとは?
単純に訳しますと、通貨ペア金利差調整額です。
各国の中央銀行はその国の金融政策として政策金利というものを打ち出しています。例えばアメリカですと2.5%(2019年6月時点)、日本ですとマイナス金利政策で -0.1%です。この金利差を基準に各FX業者はスワップポイントを決めています。また政策金利以外でも各国の情勢や経済状況によってスワップポイントの金額を調整する場合もあります。
以前の投稿でスワップが業者から付与される場合とトレーダー側が業者へ支払う場合があると記載しました。仕組みを解説したいと思います。
まずFX業者とトレーダー間における、スワップポイントの付与と支払い義務というルールの点では、個人や法人が銀行と取引することに類似しています。
基本的に銀行へ現金を普通預金や定期預金しますと、銀行側から金利が支払われます。これがFXの場合はロングポジションを保有することと同じです。トレーダーの証拠金や保有しているロングポジションを一時的にFX口座に預けているという解釈です。では次に銀行からお金を借りるとどうでしょうか。当然、こちらが金利を銀行へ支払いますよね。FXの場合ですとこれはショートポジションを保有することです。FX業者から通貨を借りて市場に流しているため、借りている間はスワップポイントをこちらの証拠金から支払わなければなりません。
ドル/円ペアを例にしますと、1Lotあたり30円のスワップポイントがロングポジションを保有している場合付与され、ショートポジションの場合は50円ほどの支払い義務が発生します。*金額は参考額になります。
例にしますとドル/円ペアを10 Lot 6/18にロングエントリーした場合、このポジションをその日のうちにクローズせず翌日に持ち越した時に300円のスワップポイントが付与されます。逆にショートポジションの場合は500円を支払うこととなります。さらに持ち越した場合日付が変わるごとにスワップポイントが積み重ねられます。1ヶ月(21営業日として計算)保有しますと、累計スワップポイントがロングの場合は +6300円でショートですと-10,500円となります。
上記の場合はドル/円ペアのような主要な通貨ですが、例外もあります。
それは、日本と同じくマイナス金利政策を打ち出している国の通貨です。
豆知識…. マイナス金利政策とは?
中央銀行が法人の留保金を対象に打ち出す金融政策であり、目的はその溜まっている留保金を金融機関から流出させ、市場を潤わせるというものです。そのため法人は銀行へ資金を預けているにもかかわらず、金利を支払わなければならないという事態になります。それを避けるため企業は銀行から資産を引き出し、設備投資や社員の賃金上げに留保金を使います。結果景気回復につながります。逆に個人にとっては銀行から住宅ローンをする際、低金利のため有利となります。銀行にとってはいずれにしても不利となりますが。
FXの話に戻りますと、E.U 及びユーロ圏においては日本と同じくマイナス金利政策をしています。そのためユーロ/円ペアでロングした場合スワップを支払わなければなりません。逆にショートの場合はスワップが付与されます。
スワップポイントの金額や付与に関するルールは各FX業者によって様々です。注意点としては、ほぼ毎営業日発生するスワップポイントがどのように付与または業者に支払われるかということです。業者によっては自動的に口座へ反映される場合もありますし、トレーダー任意で反映または保留というカタチにできる業者もあります。またはポジションクローズするまで反映されない業者もあります。
長期トレードを検討する場合はこれらのスワップポイントに関する各FX口座のルールに注視することが必要です。後々必要となってくる必要証拠金額や証拠金維持率、税務リスクに差が出るかと思います。
以上のことを踏まえますと、業者により多少差異がありますが一般的な円建てでFX取引する際、マイナス金利政策をしていない主要国通貨ペアでロングする場合は金利が銀行から支払われると同様にFX業者からスワップポイントが付与され続け、ショートする場合は金利を支払うと同様に証拠金からスワップポイントが引かれ続けるということになります。これらの点でスワップポイントを理解しておくことが必要です。
次回は高金利通貨ペアを用いたスワップ運用に関して投稿します。